3Dデータをアップロードするだけで即座に見積もり
筐体設計の現場では、お客様から3Dデータをいただき、材料費・加工費・諸経費などを積算して見積もりを作成する作業が頻繁に発生します。従来、この作業は担当者が3DCADでデータを開き、体積や表面積を確認し、Excelで計算式に当てはめて算出するという手作業でした。1件あたり30分〜1時間、複雑な形状なら半日以上かかることもありました。
「この作業、もっと速くできないか?」そう考えた私たちは、AIエージェントを活用して、3Dデータをアップロードするだけで自動的に見積もり金額を算出するWebアプリを開発しました。開発にかかった時間は、わずか2時間です。
アプリの機能
開発した自動見積もりアプリは、以下の機能を備えています。
- 3Dファイルの読み込み: STL / STEP / STP形式に対応。ドラッグ&ドロップでファイルをアップロード
- 3Dプレビュー: アップロードした3Dモデルをブラウザ上でリアルタイム表示。形状を目視確認しながら見積もり可能
- 単位切り替え: mm / cm / inch / m に対応。海外の取引先からのデータにもそのまま対応
- 加工方法の選択: 3Dプリント / NC切削 / 樹脂成形の3種類から選択。加工方法ごとに異なる単価体系を自動適用
- 素材プリセット: ナイロン(白/SLS)をはじめ、複数の素材をプリセットで用意。素材ごとの材料費単価を自動設定
- 詳細パラメータ設定: 材料費単価・空間費単価・基本料金・数量を自由に調整可能
- 自動見積もり算出: 3Dデータの体積・バウンディングボックスから材料費・空間費・基本料金を自動計算し、見積もり金額を即座に表示
- ファイル情報表示: 三角面数・ファイルサイズ・ファイル名・メッシュの閉じ/開き状態を自動判定
なぜ2時間で開発できたのか
AIエージェントとの協業
今回のアプリ開発では、AIエージェントに対して「3Dファイルを読み込んで体積を計算し、単価を掛けて見積もりを出すWebアプリを作って」と指示を出すところからスタートしました。AIエージェントは、この指示をもとにアプリの構成を提案し、コードを生成していきます。
人間の役割は、以下の3つに集中できました。
1. 要件の明確化: どんな加工方法に対応するか、計算ロジックはどうするか
2. 業務知識の提供: 材料費の単価体系、基本料金の考え方、素材ごとの特性
3. 動作確認とフィードバック: 実際に3Dデータを読み込ませて、結果を確認・修正指示
コーディング自体はAIエージェントが担当し、Three.jsによる3Dプレビュー、STLパーサーによる体積計算、見積もりロジックの実装などを一気に生成しました。人間がExcelの計算式を組むよりも速く、しかもWebアプリとして誰でもブラウザから使える形で完成しています。
開発の流れ
0:00〜0:20 要件定義と基本設計。AIエージェントにアプリの概要を伝え、技術構成を決定。
0:20〜1:00 コア機能の実装。3Dファイル読み込み、体積計算、見積もりロジック、UIの生成をAIエージェントが実行。
1:00〜1:30 3Dプレビュー機能の追加と、加工方法・素材プリセットの切り替え機能を実装。
1:30〜2:00 実際の3Dデータでテスト。計算結果の検証と微調整。UIのデザイン仕上げ。
現場への導入効果
このアプリの導入により、以下の効果が得られています。
- 見積もり作成時間: 1件あたり30分〜半日 → 数秒に短縮
- 属人化の解消: 見積もり経験が浅い担当者でも、3Dデータがあれば即座に概算見積もりが可能
- 顧客対応の迅速化: 商談中にその場で概算を提示できるため、意思決定のスピードが向上
- 見積もり精度の標準化: 担当者による計算ミスや見落としがなくなり、安定した精度を実現
中小製造業こそ「自社専用ツール」をAIで作る時代
従来、こうした業務アプリの開発は外注すれば数百万円、社内で開発するにもエンジニアの確保が必要でした。しかし、AIエージェントを活用すれば、業務知識を持つ現場の担当者が、自分たちのワークフローに最適化されたツールを短時間で作ることができます。
今回の見積もりアプリは一例に過ぎません。部品の在庫管理ツール、検査記録のデジタル化、図面の自動分類など、製造現場には「ちょっとしたツールがあれば劇的に楽になる」業務が山ほどあります。AIエージェントは、こうした「痒いところに手が届く」ツールを、驚くほど短期間で実現する力を持っています。
undermountainでは、自社の製造現場で実際にAIエージェントを活用し、業務効率化ツールを内製しています。「うちの現場でもこんなツールが欲しい」というご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。